introduction

〜法律と機械、どっちが「正義」か〜
年、コンピューター利用者は増加の一途をたどっている。
インターネット利用者が2000万人に達しようとしているとの調査(6/12各マスコミ報道による)に拠るまでもなく、すでにこの文章を読んでいる皆さんは立派なコンピューターユーザーだ。
カラープリンターの精度は向上し続けているし、JRはIC定期券の実用化を決めている。
こうした状況下、コンピューター(を含めた機械)を利用した犯罪的行為もまた急増している。
現実問題として、機械を用いない知能犯を見付けることの方が難しくなりつつあるといっても過言ではないのではなかろうか。
「不正アクセス防止法」など、このような急速な変化に対応すべく、様々な立法措置はなされている。しかし、犯罪抑止の根幹である刑法は、(平成7年に大幅な改定があったものの)明治40年に作られた法律である。当然現在の状況など予定していない。
しかし、犯罪的行為がなされた際、第一に刑法を使って事件を処理しようとするのが法律家の態度である。
コンピューター犯罪を刑法の世界に持ち込んだとき、どのような問題が生まれるのだろうか。
偽造テレカや、ホワイトカード、コピーの正当性などの問題も併せて考えながら、この問題に迫って行きたいと思っている。
なお、本稿では判例やそれを中心とした学説を扱っていく予定である。したがって、ケースとして多少古いものが出てくることがある。当然、犯罪行為→捜査→公判→判決→それに対する批評 といったタイム・ラグが生じるのは避けられないし、筆者の能力にも、「通説」をベースとせざるをえない限界があるからである。
その辺り、食い足りないと思われる方もいらっしゃるだろうが、ひらに御容赦頂きたい。
では、いざ、ややこしそうでややこしくない法律の世界へ!